ZOKU(森博嗣)

ZOKU (光文社文庫)

ZOKU (光文社文庫)

《★★★★》

 抑制された照度は、それを補おうとする人間の好奇心を引き出すための演出だろうか、通常ならば眠気を誘いかねない環境であるにもかかわらず、逆に薄暗いところで奇妙な積極性に目覚める人格も少なくない。もちろん習慣的なもの、つまり暗いところでどきどきするような行為をしたか、その種の行為に及ぼうと考えたか、それともそんな行為をたまたま目撃したのか、そういった過去の体験によって学習した連鎖反応に基づいている、と断言しても良いだろう。否、断言しても取り立ててなにかが得られるわけでもない。したがって、そう感じる、くらいのレベルに留めておこう。このように、あらゆる判断に対してことごとく「レベル」を持ち出すこと事態、行き過ぎた考慮であると指摘する向きもあるけれど、今でも、ツマミやスイッチが沢山付いてる方が高級なメカである、という認識を持った古い人間が多いのもまた事実で、デコレーションはすなわち高級との道理は根強く、なかなか風化しない。
――P.65

▼読むのをなぜか避けていた、のを、なぜだろう、と改めて思った。勿体無かったな、と思えている。おもしろかった。おそらく『水柿君シリーズ』と同系統の物語と言えるだろう。まったりで、てきとーで、なんかこう、でも逆手にとって裏をかいちゃうぜ、みたいな。時おり思う。図抜けた思考ってのは最後こういう形になったりするのでは、とか。