世界は称賛に値する

日記を書きます

続・企業参謀(大前研一)

続企業参謀 (講談社文庫)

続企業参謀 (講談社文庫)

《★★★★★》

 要は、製品と市場から成る無限の組合せの中で、当該事業の特徴をもっともよく引き出せるような組合せを二〜三の基本分析と、何回かの試行錯誤によって見出していかなくてはならない。製品・市場戦略は、そうした意味では「慣れ」が必要で、戦略立案者は常に訓練を重ねていかなくてはならない。
 製品・市場戦略は、最終的には美しい一つの文章として記述できるところまで昇華しなくては、本当の味わいが出てこない。その文章は、1・世の中の動きと構成に対し、自社がどのように対処してきたか 2・今後この趨勢が続けばどのようになるか 3・これを抜本的に改革させるにはどのような打ち手があるか 4・自社の得手・不得手、強さ・弱さ、緊急度などを勘案し、どの打ち手が現状に最も適しているか 5・たとえばその打ち手が失敗したとき、どのように対処したらよいか 6・実施後の期待成果はどのようなものであるか 7・誰が、いつ、どのようなプログラムを実行すれば全体として所期の成果があがるか、という順序で展開されているであろう。
――P.42

▼資源は限られていて、つまり、道具も材料も行動も時間も限られていて、だから何でもはできなくて、目標を定め、目標に到達するために、限られたものをいかに使うか、まで精密に考えなければならない、という瞬間がある。状況がある。なんていう「状況」に対するための思考の形が時おり「戦略」と呼ばれたりするのだと思う。改めて、凄いぜ、と思った。戦略をいかに考えればいいか。が、かなり適確に記述されている。解説と実例が適切かつ巧緻だ、と判断できた。読むことでかなりの影響を期待できるのではないか、と素直に言える。あと、類例があまりない書物だ、とも思う。だからこそ読まれ続けているのだろうな、と思った。やはり、ビジネス書はべストセラーに傑作が多いな、と思う。