世界は称賛に値する

日記を書きます

嘘つきは妹にしておく(清水マリコ)

嘘つきは妹にしておく (MF文庫J)

嘘つきは妹にしておく (MF文庫J)

《★★★★》

「でもね、思うんだけど……人と心を通わせるのと、超能力や必殺技で勝利するの、どっちが難しいかって言ったら、私は、人と心を通わせるほうだと思うよ」
「……」
「私、ヨシユキ君に声をかけるときも、バラバラの物語の話をするときも、本当は、すごく怖かった。ヨシユキ君が怒ったらどうしよう、バカにして本投げつけたらどうしようって。いまも怖いよ。ヨシユキ君は、私のことを知ったばかりで、これから、私をどう思うかわからない。ヨシユキ君と私は、心を通わせることができるかどうかわからない」
――P.38

▼想像していた物語とはかなりの違いがあった、と改めて思う。ばらばらになった物語の登場人物たちを女の子と一緒に拾い集めていく物語、なんて言えるだろうか。登場人物は境遇の似た人物のもとへ移動している。物語を再び統合するためには彼らと心を通わせなければならない。最後は『嘘つき』が鍵になる。描写が巧い、と再認識した。観察が鋭いのだろう。嘘シリーズ最終幕『侵略する少女と嘘の庭』も遠くなく読もうと決めた。