ユダヤ人大富豪の教え(本田健)

ユダヤ人大富豪の教え 幸せな金持ちになる17の秘訣 (だいわ文庫)

ユダヤ人大富豪の教え 幸せな金持ちになる17の秘訣 (だいわ文庫)

《★★★★★》

 ともかく、薪を集めて、火をたいた。静かに火を見ていると、いろんな感情が湧いてきた。久しぶりに感じた怒りが引き金になったのか、小さい頃の家族のドラマを思い出した。酔っ払った父親に殴られたこと。母親が僕をかばい、姉と弟は、オロオロしている。ふだんは思い出したくない光景が、次から次に出てきた。最初は、怒り、そして、悲しみが怒涛のように出てきた。どうして、あんなことになったのだろう? 家族に対する、憎しみ、いとおしさの混ざり合った感情が出てきた。
「ひょっとしたら、もう会えないのかな?」
 日本にいたときは、一生会いたくないと憎んでいた父親にも、無性に会いたくなった。僕がひどいことを言ったのを謝りたかった。もし、チャンスがあれば……。友人の顔が一人ひとり浮かび、消えていった。僕の周りには、いろんな人がいたんだな。
――P.106

▼才気溢るる若者が知見豊かな老人に教えを請う、という物語形態がおそらくは理解効率をかなり高めたのだろう、と判断してみた。要するに、物語に意識を沿わせることで滑らかにスキーマを起動し把握することができた、というわけだ。ちなみに最近は、思考や理解や認識に対して『スキーマ』という概念を適用して分析するようになった。というのは無論余談だ。物語形態だったおかげで『老人の与えた試練』や『若者の考えた解法』をより実際的に感じ取ることができた、という感じか。想像以上に楽しめた。好きな本だ。