世界は称賛に値する

日記を書きます

四季 春

四季・春 (講談社ノベルス)

四季・春 (講談社ノベルス)

《90点》
P.82

「作りものだとわかっていても、その場では楽しめる、というのは、高等な精神構造なのか、それとも単純なのか、少し考え直さなければいけないわ。私が想像しているよりも、人間の感情コントロールは回路が多そう。誰でも切り替えられる。何のために、こんなストラクチャになったのかしら。どうして、一つの躰に一つの精神を据えて、着実なコントロール系を構築しなかったのだろう。生きるためには、そちらのほうが絶対に都合が良いのに。必要とはとうてい思えないものが、沢山あるの」
「無駄が多い?」
「そう、無駄が多いというのか、あまりにも多くの条件に対応できるように設計がなされているのに、何故か、周囲には、そんなに複雑で多数の条件が存在していない。それが不思議」
「君がまだ見ていないものがあるんだよ」
「ああ、それはそうね。そう思います」