世界をよくする現代思想入門(高田明典)P.16

世界をよくする現代思想入門 (ちくま新書)

世界をよくする現代思想入門 (ちくま新書)

《90点》

 人は、ときどき「どうやったら幸せになれるだろうか」と考えたりします。そして、「自分にとっての幸せとは、何であろうか」と考えるようになります。簡単に言うと、「幸せな状態にある自分」を頭の中に思い描くわけです。そして、このときの「絵柄」によって、人の行動はさまざまなものとなります。この「絵柄」が、とても重要です。それは、自分が「どのような世界を望ましいものと考えるか」ということと同じだからです。
 では、ここでそのような「絵柄」を思い描いてみましょう。
 どんな「絵柄」が頭の中に浮かんだでしょうか。
 たとえば、「豪邸に住んで、何不自由なく暮らす」という「絵柄」を思い浮かべたりする人もいるでしょうし、「偉くなって、多くの人から賞賛を受けている」という絵柄を思い浮かべる人もいるでしょう。もちろん哲学者や思想家と呼ばれる人たちの中にも、そのような「絵柄」を思い浮かべる人がいるでしょうが、「豪邸に住んで何不自由なく暮らす」ために哲学者になろうと思うのは、実は「あまり効率的な道筋」ではありません。そのような生活をするためには、もっとまじめに働く生活を選んだほうがよいでしょうし(決して哲学者がまじめではないと言っているわけではありません)、むしろ会社を経営するために商売を学んだほうが効率的でしょう。たぶん、多くの哲学者が思い描いた「絵柄」は、そのようなものとは少し違っています。