世界は称賛に値する

日記を書きます

涼宮ハルヒの憂鬱(谷川流)

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

《80点》

「人間はさあ、よく『やらないで後悔するよりも、やって後悔するほうがいい』って言うよね。これ、どう思う?」
「よく言うかどうかは知らないが、言葉通りの意味だろうよ」
「じゃあさあ、たとえ話なんだけど、現状を維持するままではジリ貧になることは解ってるんだけど、どうすれば良い方向に向かうことが出来るのか解らないとき。あなたならどうする?」
「なんだそりゃ、日本の経済の話か?」
 俺の質問返しを朝倉は変わらない笑顔で無視した。
「とりあえず何でもいいから変えてみようと思うんじゃない? どうせ今のままでは何も変わらないんだし」
「まあ、そういうこともあるかもしれん」
「でしょう?」
 手を後ろで組んで、朝倉は身体をわずかに傾けた。
「でもね、上の方にいる人は頭が固くて、急な変化にはついていけないの。でも現場はそうもしてられない。手をつかねていたらどんどん良くないことになりそうだから。だったらもう現場の独断で強行に変革を進めちゃってもいいわよね?」
 何を言おうとしているんだ? ドッキリか? 俺は掃除用具入れにでも谷口が隠れてるんじゃないかと思って教室を見渡した。隠れやすそうな所は、あと教卓の中とかか。
「何も変化しない観察対象に、あたしはもう飽き飽きしてるのね。だから……」
 キョロキョロするのに気を取られて、俺はあやうく朝倉の言うことを聞き漏らすところだった。
「あなたを殺して涼宮ハルヒの出方を見る」