世界は称賛に値する

日記を書きます

バタフライ・エフェクト

バタフライ・エフェクト プレミアム・エディション [DVD]

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 絶賛だ。どうせこうなるんだろうなと偉そうに推測して、裏切られ、推測していたよりも楽しい展開を見せつけられる、という経験を数回積まされた。というだけでかなり評価が高くなっている。想像を超えてくれる知性に対する憧れ、があるからだ。単純に、状況設定が良いところも素敵だった。が、凄いぜ、と感嘆したところもあった。エヴァンという主人公の心の強さ、がそうだった。こいつは格好良い、と思える描写があったのだ。たとえば自分がもし、自由自在というわけにはいかないが、ある程度なら世界を好きに変えられる、というような状況に置かれたとしよう。そして、不幸になってしまったみんなを救うためにその状況を活用してみせるのだとしよう。その結果、もしも、世界を変革する際の微調整がどうしてもうまくいかず、自分だけは死ぬほど不幸になってしまったが、まわりはみんな幸せにすることができた、という状態に置かれてしまったら、私は、こんなのは耐えられない、もう一度世界を変革してやろう、と願わずにいられるだろうか。みんなが幸せになれたんだからいいさ、俺に訪れた不幸は受け入れて生きていくよ、なんて決断が行えるだろうか。無理だろう、と思った。私なら間違いなく再び世界の変革を行おうとしてしまう、と思った。だが主人公のエヴァンは、同様の状況で、世界の変革を行おうとはしなかった。決して耐えたわけではない。無論満足したわけでもない。だが、このままでは耐え切れずにまたもや世界を変革しようとしてしまうだろう、という自分の精神をきちんと見つめ、だからこそ、独り静かにその場所から去ろうとしたのだった。ただ私がいなくなればみんなは幸せでいられるんだ、ということを体現しようとしたのだった。この物語にはそんな美しさがあった、と解釈している。そこに惚れた、と言っていい。