世界は称賛に値する

日記を書きます

100人の森博嗣(森博嗣)P.255

100人の森博嗣 (ダ・ヴィンチ・ブックス)

100人の森博嗣 (ダ・ヴィンチ・ブックス)

《90点》

森 わかろうと思うからいけない。だからたとえば、抽象画ってわからないじゃないですか。具象画はわかりますよね。でもあれ、勘違いしてて、絵っていうのはさ、何が描いてあるか当てるためにあるんじゃないよね。具象画の場合は、これは女の人だ、とわかる。抽象画は、これは何の絵だかわからない。でも、絵の目的っていうのは、そこに何が描かれているかを当てることにあるわけじゃない。何が描かれているか当たったら、良い絵ですか? そうじゃなくて、それを見て、綺麗か綺麗じゃないかが、むしろ絵の価値であって、そういう意味でいったら抽象画っていうのは、これは綺麗だなって思えれば目的達成だよね。それと同じように、詩っていうのも、何が書かれているのかを示すことが目的じゃないんですよ。それを読んで、ああ綺麗だなって思えれば、それで良いわけだから。そうやって読めば凄く面白いものだと思います。だから、みんな、この詩がどういう状況で書かれたのか、いったい何を主張しているのか、作者は何を表現しようとしたのか、と考えちゃうからいけない。別に、なにも主張しようとなんてしていないんです。