大学の話をしましょうか 最高学府のデバイスとポテンシャル

大学の話をしましょうか―最高学府のデバイスとポテンシャル (中公新書ラクレ)

大学の話をしましょうか―最高学府のデバイスとポテンシャル (中公新書ラクレ)

P.24

 ただし、働いている者が偉い、働かない者は一人前ではない、という考え方は間違っていると思います。その理屈が、男女差別や、老人差別、子供差別の基本になっているものです。人間は、働いているから偉いわけではありません。働くために生きているのでもありません。これまでは、みんなが労働をしなければ生きられない貧しい時代だった。あるいは、その前には、一部の働かない人たちが、大勢の人間を働かせて、富を集めていました。ですから、その反動で、全員で社会のために働いてこそ権利が認められるのだ、という思想も生まれたのだと思います。しかし、労働という意味が、既に昔とは異なってきているのです。歌をうたってお金を稼げる人がいますし、面白いことを言うだけで職業になる人もいる時代なのです。明らかに生きていくための生産行為ではないものまで、今は立派な仕事になっているわけですね。
 自分だけのためではなく、他人が望んでいることを分担する、という気持ちがあれば、その人は社会性を持っているわけで、この世の中ではきっと上手く生きていけるでしょう。仕事をするかしないかよりも、その社会性の方がずっと重要だと考えます。