かつての事件

 過労死、という概念を聞いた時に感じるのは、人間は疲れすぎると死ぬらしい、ということに対する驚きで、要するに私は普段、驚くほどそのことを意識していない。疲労に対してあまり危険性を感じていないのだ。なんというか、疲れくらい気合と根性でなんとかなるだろう、というような精神論で納得してしまっている部分がある。ゆえに最近は、意識的に休息をとるよう心がけている。そんな風に考えてしまうのは、本当に『疲れた』ことがないからかもしれないな、とちょっと考えた。仕事は休み。正午くらいまでぐったりゆったり溶けるように眠っていた。起きてから携帯を見て、見知らぬ電話番号からの着信に気づく。かけなおさない。その電話番号からの電話が再びかかってきたのは、午後を過ぎてからだった。警察からの電話であった。前に巻き込まれた傷害事件の捜査が佳境に近づいているらしく、その際に書類が必要になるから持ってきてくれないか、というような連絡だった。午後5時に警察署へ向かうことになる。待ち時間には、永井均氏の『転校生とブラックジャック』を読んでいた。状況が似ていたせいか、かつて病院での待ち時間に野矢茂樹氏の『哲学航海日誌』を読んでいたことを思い出す。ここ最近は再び哲学について考えることが増えている。思考が活性化している時期なのかもしれない。