フルーツバスケット15巻

「敵わないとか……、いいとか悪いとか、正しいとか間違いとか、そんなことどうでもいいんだ。そういう気持ちで成り立つ二人だっているだろうし、それはそれでいいんだ。そんなことはどうだっていいんだ……っ。ただ俺は、俺は嫌だ。俺は嫌なんだ、そんなの、寂しいんだ……っ」

 由希くんは必要とされたことがなかったから、自分の価値を信じることができなかったわけで、あるいは、自分には価値があるのか、ということさえ考えたことがなかったのかもしれないけれど、誰かに必要とされることで重要感を覚える、という構造はわりと人間にとって先天的なものだと私は考えているから、たとえそれを考えたことがなかったとしても、それは、単に意識していなかった、というだけのことなのだと思う。まあ子どものころの話だしね。そして、その子ども由希くんの、必要とされたい、という叫びに答えたのが、本田さんだったわけだ。その結果、由希くんは本田さんと一緒にいることで、満たされていなかった幸せを感じることができたわけだけど、それは、恋愛感情とはちょっと違っていた。と言い切ってしまうのは間違いか。恋愛の正確な定義なんてできないのだから、もしかしたらそれだって、恋愛と呼んでいいものだったのかもしれない。けれど、由希くんはそれを拒否した。由希くんの理想はそういう形ではなかったのである。背伸びせず、対等の目線で、必要として、必要とされたい、と彼は求めた。なんて、別にそれに共振しているわけじゃないのだけど、なんかちょっといろいろ考えたのだった。