ほかの人の感想を読む理由

▼読み終えた本の感想をネットで検索する、ということをたまに行う。求めている文章があるからだ。私が求めている文章は二種類。▼まずひとつは、私が読んで気づかなかったところに目を向けている感想、である。私ひとりが本を読んで、いくら『これはおもしろい』とか『これはつまらない』とか思ったところで、限界がある。なぜなら、私には、というか人間には、見えたところしか見えない、からだ。そしてその視野は、それまでの経験に依存しているところがあるからだ。だからこそ、別の経験を重ねてきたほかの人間の感想には、その、私に『見えたところ』以外の、私の視野の外にあったものを、視界内に捉えているものがある。そういったものを読むことで、視野の外にあったその未知を取りいれ、感想を広げるのが好きなのだ。時にそれは、おもしろさを増幅させさえする。おのれにはなかったその『視野』を手に入れることもできる。知識だって増える。それがとても楽しい。▼そして、もうひとつ。そのもうひとつも、私が気づかなかったものを視界内に捉えている感想、という意味では、前述のものと同じような文章だと言えるかもしれない。それは、私と同じところに目を向けた感想でありながら、私のものよりも深く、そして、洗練された感想、である。同じ意見を語っていながら、私の感想よりも整理されており、かつ、より奥深いところまで切り込んでいる、と感じられるような感想。そういうものに出会えると、ちょっとした敗北感と同時に、歓喜のようなものも覚えるのだ。それはおそらく、自分を強化するためのひとつの手本を手に入れた喜び、であろう。