世界は称賛に値する

日記を書きます

▼妖魔夜行から百鬼夜翔へと時代が移り変わる過程で、設定的なものも変化を遂げた。その大きなひとつが、妖怪たちのスタンスの変化、であろう。百鬼夜翔を読んでいて思うのだけど、百鬼夜翔と妖魔夜行では、人間と妖怪を結ぶ関係の性質が違う。その差は、妖怪たちの人間に対する考え方の違い、と、人間たちの妖怪に対する考え方の違い、みたいなところにもあるのだけど、一番違うのはやはり、作者たちの、物語の描き方、にあるのだと思う。妖魔夜行の物語は、おおむね、人間側に比重が置かれていた。たとえば物語冒頭で襲われるのは大抵一般人であり、そこから、助けを求めてきたり、時には偶然だったりして、主要人物たちと関わる。そういう流れが多かった。しかし百鬼夜翔では、最初から主要人物たちが事件に関わることが多い。比重が最初から妖怪側、というか、主人公たち側にあるのだ。そのせいで、神秘性がなくなった、なんて言い方は、何も言っていないに等しい気もするが、なんにせよそのせいで、妖怪たちが持つ魅力が薄れてしまったように思う。だが無論、その差が、物語をつまらなくするものだとは言い切れない。うまく料理すれば、良い味を引き出せる変更点ではあるだろう。そのあたりを期待していきたい、とか思うのだが、評判を聞いていると、そこまでの魅力はこれからもあまり期待できない様子かな。先入観は敵だから、まあいいけど。前シリーズのキャラクターなんかも、もう少しくらい出てくれてもいい気がするのだが、あえてそこはしない方向なのかなやはり。